与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より

郷人(さとびと)にとなり邸(やしき)のしら藤の花はとのみに問ひもかねたり

<私が考えた歌の意味>
となりのやしきのしら藤の花は咲いたかしら。
でも、里の人に、となりのしら藤の花は、咲きましたかとだけ尋ねることもできない。

<私の想像を加えた歌の意味>
となりに住むあの方はどうしているかしら。
でも、直接訪れることはできない。
里の人に、それとなく訊いてみようかしら。
でも、なんて訊けばいいのだろう。
そうだ、となりのやしきには、見事なしら藤があった。
しら藤の花は咲きましたか、と訊いてみようかしら。
でも、いきなり、しら藤の花のことだけを訊くのも、なんだかわざとらしい。