西行 山家集 上巻 春 39 7020

梅が香を 谷ふところに 吹きためて 入りこん人に しめよ春風
うめがかを たにふところに ふきためて いりこんひとに しめよはるかぜ

<私が考えた歌の意味>
春風よ、梅の香りを谷中に吹き広げてくれ。
その風で、この谷を訪れてくれる人に梅の香を染み込ませてくれ。

<私の想像を加えた歌の意味>
訪れる人の少ないこの谷間に梅が見事に咲いた。
春風よ、たとえ花が散ってもよいから、谷間中をこの香りで満たしてくれ。
谷間を訪れた人を、梅の香りで染め上げてあげたいから。

<歌の感想>
 作者の庵を訪ねる人は少ない。せっかくの梅の花なのに、共に楽しむ人がいない。そうしているうちに、花も散ってしまうだろう。それなら、せめて、この谷に来た人にこの香りを存分に届けたい。そのような作者の気持ちが伝わる。
 また、それと同時に、吹く春風を感じながら想像を膨らませて、歌を詠んでいることも感じられる。