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柿本朝臣人麻呂が近江の国から上って来た時に、宇治川の辺りまで来て作った一首
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行くへ知らずも
もののうの やそうじがわの あじろぎに いさようなみの いくえしらずも
<歌の意味>
宇治川の下流に川魚を捕る網がたくさん仕掛けられている。
その網を支える杭に邪魔されて流れが滞っているのが見える。
川波は、自分がどこへ行けばいいのかわからなくなっているのだ。
<感想>
作者は、宇治川の急な流れでも穏やかな流れでもなく、流れが悪くなり溜まっている所を描いている。
そこに人麻呂の独特の感覚を感じる。勢いのよい流れでも堂々とゆったりとした流れでもなく、滞り、淀んでしまいそうな流れなのであろう。朽ちていくものの美しさとでも言えばよいのか。
作者は川の立場に立ち、流れねばならないのにどちらへ向かえばいいのかわからないと、表現している。
柿本朝臣人麻呂が近江の国から上って来た時に、宇治川の辺りまで来て作った一首
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行くへ知らずも
もののうの やそうじがわの あじろぎに いさようなみの いくえしらずも
<歌の意味>
宇治川の下流に川魚を捕る網がたくさん仕掛けられている。
その網を支える杭に邪魔されて流れが滞っているのが見える。
川波は、自分がどこへ行けばいいのかわからなくなっているのだ。
<感想>
作者は、宇治川の急な流れでも穏やかな流れでもなく、流れが悪くなり溜まっている所を描いている。
そこに人麻呂の独特の感覚を感じる。勢いのよい流れでも堂々とゆったりとした流れでもなく、滞り、淀んでしまいそうな流れなのであろう。朽ちていくものの美しさとでも言えばよいのか。
作者は川の立場に立ち、流れねばならないのにどちらへ向かえばいいのかわからないと、表現している。