万葉集のかたわらにキーボード

記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。

カテゴリ: 『一握の砂』石川啄木「煙」

石川啄木『一握の砂』「煙」 より人ごみの中をわけ来(く)る我が友の昔ながらの太き杖かな<私の想像を加えた歌の意味>駅前の雑踏をかき分けるようにしてやって来た。私の姿を見つけると、友はうれしそうな顔をして、周りの人々の視線など気にしていない。友は、人ごみの…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より興(きょう)来(きた)れば友涙垂れ手を揮(ふり)て酔(ゑ)ひどれの如くなりて語りき<私が考えた歌の意味>興がのると、友は涙を流し、手を振り回して語る。あいつは、酒も飲んでいないのに、まるで酔っ払いのようになって熱弁をふるい…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より先んじて恋のあまさとかなしさ知りし我なり先んじて老ゆ<私が考えた歌の意味>同じ年齢の若者より早く恋を経験した。恋のあまさとかなしさを人より早く知った私だった。そんな早熟な私だから、老成するのも早いのだ。<歌の感想> 理屈が…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 よりわがこころけふもひそかに泣かむとす友みな己(おの)が道をあゆめり<私の想像を加えた歌の意味>かなしさに浸り、時を過ごす。ひそかに、独りで、自分の心を見つめる。私の心は、今日も泣こうとしている。友はみんなそれぞれの道を歩んで…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より眼を病みて黒き眼鏡をかけし時その頃よ一人泣くをおぼえし<私が考えた歌の意味>眼病を患って、日を遮る黒いレンズの眼鏡をかけた。ちょうどその頃からだ。孤独感に涙する経験をするようになったのは。<私の想像を加えた歌の意味>目を病…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より茨島(ばらじま)の松のなみ木の街道を我とゆきし少女(をとめ)やすく暮らせり<私の想像を加えた歌の意味>茨島(ばらじま)の松のなみ木の街道をあの少女と歩いた。どちらが誘ったと言うのでなく、互いに惹かれ合ったのだった。人目を気…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より田舎(ゐなか)めく旅の姿を三日ばかり都に晒(さら)しかへる友かな <私の想像を加えた歌の意味>いかにも田舎から出て来たという様子で、友は、三日ばかり都で過ごしていった。出て来た友は、都を珍しがって私の案内を喜んでいた。私の…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 よりそのかみの学校一のなまけ者今は真面目にはたらきて居り<私の想像を加えた歌の意味>その当時は、学校一の怠け者だった奴がいた。今は、真面目に働いている。学生時代のままの友もいれば、あいつのようにすっかりと変わってしまう友もいる…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より自(おの)が才に身をあやまちし人のこと語り聞かせし師もありしかな<私の想像を加えた歌の意味>自分の才能を驕って、結果として身を滅ぼしてしまった人のことを話してくれた先生がいた。多くの先生の教えは、たいてい忘れてしまったが、…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 よりおどけたる手つき可笑(をかし)と我のみはいつも笑ひき博学の師を<私が考えた歌の意味>なんとなくこっけいな手つきで、授業をする先生がいた。他の生徒は笑わなかったが、私だけは、その先生の手つきを笑っていた。その先生が博学だとい…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より蘇峰(そほう)の書われに薦(すす)めし友はやく校をしりぞきぬ貧しさのため<私が考えた歌の意味>徳富蘇峰の著作を、私に読むように薦めてくれた友人がいた。その友人は、入学してほどなく学校を止めてしまった。家が貧しく、学費が続か…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 よりかぎりなき知識の慾に燃ゆる眼を姉は傷(いた)みき人恋ふるかと<私が考えた歌の意味>際限のない知識欲にかられて、燃えるように眼を輝かせていた。その私の眼差しを、姉はひどく心配していた。私が誰かに激しく恋しているのではないかと…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より解剖せし蚯蚓(みみず)のいのちかなしかりかの校庭の木柵の下<私が考えた歌の意味>授業でミミズを解剖した。解剖されたミミズは、校庭の木の柵の下に埋められた。学習のためだとは分かっているが、ミミズにだっていのちはあるのだ。<歌…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より石ひとつ坂をくだるがごとくにも我けふの日に到り着きたる<私が考えた歌の意味>ひとつの石が坂をくだるように、私は、今日の日にたどり着いた。<歌の感想> あっという間に時間が過ぎることだけを表現しているのではあるまい。何もかも…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 よりそのかみの愛読の書よ大方は今は流行(はや)らずなりにけるかな<私が考えた歌の意味>過ぎ去ったあの頃に愛読した何冊もの本。あの頃は、流行し、もてはやされた書物だった。それらの本の大半は、今はもう流行遅れで、読み継がれることは…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より西風に内丸大路(うちまるおほぢ)のさくらの葉かさこそ散るを踏みて遊びき<私が考えた歌の意味>西風に内丸大路のさくらの葉が散る。道路一面に散り敷いたさくらの葉は、歩むに連れて音を立てる。さくらの葉はかさこそと散り、かさこぞと…
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石川啄木『一握の砂』「煙」 より神有りと言ひ張る友を説きふせしかの路(みち)ばたの栗の樹の下(もと)<私が考えた歌の意味>神は存在すると、友達は言い張る。私は友のその主張を覆した。友とそんな論争をしたのは、あの道端の栗の大樹の下だった。<歌の感想> 懐か…
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