与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より
おばしまにおもひはてなき身をもたせ小萩をわたる秋の風見る
おばしまにおもひはてなき身をもたせ小萩をわたる秋の風見る
<私が考えた歌の意味>
窓辺の手すりに寄りかかって外を見ています。
今の私の心は、物思いでいっぱいです。
悩みのつきないこの身を手すりにもたせて、小萩をわたってくる秋の風を感じています。
記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。 私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。
<私が考えた歌の意味>
わたしはまだあなたの妻とは呼んでもらえない。
その私が人に紛れるように樒をささげる。
あなたを生んだ人のお墓の前で、娘とはいえない私が泣いている。
<私の想像を加えた歌の意味>
あなたのお母さんが亡くなった。
許されていれば、私の義理の母でもあるあなたのお母さんが。
墓参りをするが、あなたの妻としてお墓にお線香を上げることはできない。
人に隠れるようにお線香を上げる。
あなたの妻と認められていれば、娘としてお墓にお参りできたのに。
母とは呼べぬ母を思い、ひそかに涙を流す。
<感想>
「まだ母と呼べない人の墓参り君を生みし人に樒ささげる」 チョコレート語訳みだれ髪 俵万智
訳を読まなければ、意味が理解できなかった。この意味がふさわしいなら、晶子の歌の意味をとるのはやはりむずかしい。それと同時に、複雑な関係を一首に詠み込む才能に驚く。
与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より
乳ぶさおさへ神秘のとばりそとけりぬここなる花の紅(くれなゐ)ぞ濃き
<私が考えた歌の意味>
乳房をおさえて、まとった布をそっと蹴ります。
布の下は、神秘のからだ。
ここにいまいる私は花。
花は紅に濃くもえる。