万葉集のかたわらにキーボード

記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。

カテゴリ: 『みだれ髪』与謝野晶子

与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より額(ぬか)ごしに暁(あけ)の月みる加茂川の浅水色(あさみづいろ)のみだれ藻染(もぞめ)よ<私が考えた歌の意味>上向いて、明け方の月を見る。目を移すと加茂川の川面は薄い水色。水面に藻が乱れて模様となり、その模様が薄い水…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より悔いますなおさへし袖に折れし剣(つるぎ)つひの理想(おもひ)の花に棘あらじ<私が考えた歌の意味>押さえた袖には折れた剣が入っていますね。剣が折れたことを後悔しないでください。最終の理想の花には、棘はありません。剣で戦…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より誰ぞ夕(ゆふべ)ひがし生駒(いこま)の山の上のまよひの雲にこの子うらなへ<私が考えた歌の意味>この子の将来を占ってくれる人、誰かいませんか。ひがし生駒の山が暮れていきます。夕空の山の上に、雲が乱れて動いていきます。雲…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より水に餓ゑて森をさまよふ子羊のそのまなざしに似たらずや君<私が考えた歌の意味>水に餓えて、森をさ迷っている子羊のそのまなざしに似ているのです。あなたを見る私のまなざしが。<歌の感想> 『みだれ髪』の短歌は、作者から「君…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より春の夜の闇(やみ)の中くるあまき風しばしかの子が髪に吹かざれ<私が考えた歌の意味>春の夜、あまい香りの風が吹いてくる。あの娘の髪にあまい香りを漂わせないで。あの娘には、春の夜の闇はまだ早いので。<歌の感想> チョコレ…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より旅のやど水に端居(はしゐ)の僧の君いみじと泣きぬ夏の夜の月<私の想像を加えた歌の意味>旅の宿、僧のあなたは、川面の見える縁側に座っておいでになる。せっかく、二人で旅に出たのに、僧のあなたは私を見ようともなさらない。私…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 よりくれなゐの薔薇(ばら)のかさねの唇に霊の香のなき歌のせますな<私が考えた歌の意味>唇は、紅の薔薇の花びらの重なり。この唇に、魂の香りのない歌を詠ませることはさせない。<私の想像を加えた歌の意味>紅の薔薇の花びらを重ね…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 よりみだれごこちまどひごこちぞ頻(しきり)なる百合ふむ神に乳(ちゝ)おほひあへず<私が考えた歌の意味>心は、乱れに乱れ、迷いに迷う。恋心なぞに惑うことのないあなた。あなたの前では乳房を覆うこともしません。<歌の感想> 作…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 よりゆあみする泉の底の小百合花(さゆりばな)二十(はたち)の夏をうつくしと見ぬ<私が考えた歌の意味>湯船に身を横たえます。湯に入った体は、泉の底に咲く小百合の花です。二十の夏を迎えた体は、美しいのです。<歌の感想> 裸体…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より春雨にゆふべの宮をまよひ出でし子羊君(きみ)をのろはしの我<私が考えた歌の意味>春雨の夕べ、子羊のように家を出て来ました。私を迷う子羊にしてしまうあなたのことが憎らしい。<歌の感想> 恋する自己に、陶酔している雰囲気…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 よりさて責むな高きにのぼり君みずや紅(あけ)の涙の永刧(えいごふ)のあと<私が考えた歌の意味>そんなに責めないで、いつまでもいつまでもあなたを思って流した涙のあとを。あなたは、私の恋心など届かないところにいるのでしょうか…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より御相(みさう)いとどしたしみやすきなつかしき若葉木立(わかばこだち)の中(なか)の盧舎那仏(るしゃなぶつ)<私が考えた歌の意味>若葉の繁る木々の中に盧舎那仏がお姿を見せている。盧舎那仏のお顔は、たいそう親しみやすく、…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より雨みゆるうき葉しら蓮(はす)絵師の君に傘まゐらする三尺の船<私が考えた歌の意味>雨の池を白蓮の葉が覆っている。小舟で絵師のあなたは、白蓮を描いている。私は、小舟のあなたに傘を差しかけます。<歌の感想> 幻想的な光景だ…
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みだれ髪 臙脂紫 以前の記事を改めた髪五尺ときなば水にやはらかき少女(をとめ)ごころは秘めて放たじ<私が考えた歌の意味>豊かな髪が、水に浮き、柔らかく広がります。髪は、といたなら広がりますが、乙女心はそうはいきません。乙女心は、そっと隠しておくことにしま…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より春よ老いな藤によりたる夜の舞殿ゐならぶ子らよ束の間老いな<私が考えた歌の意味>春の夜、舞台では乙女たちが舞う。舞台のそばには藤の花も咲く。この春が過ぎないでほしい。舞台の乙女たちも、たとえ一瞬でも老いることなどしない…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より牧場いでて南にはしる水ながしさても緑の野にふさふ君<私の想像を加えた歌の意味>牧場から南へと豊かに川が流れる。川の流れに沿って、緑の野が広がる。その野に立つ男。なんて、その男は、この広々とした光景に似合うことか。<歌…
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与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より小草(をぐさ)いひぬ「酔へる涙の色にさかむそれまで斯くて覚めざれな少女(をとめ)」<私が考えた歌の意味>小さな草がささやきかけます。「恋に酔い、恋の涙を味わい、恋というものを知るでしょう。恋の深みを知るまでは、夢の中…
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