石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

砂山の裾によこたはる流木に
あたりを見まはし
物言ひてみる

<私が考えた歌の意味>
砂山の外れに流木が横たわっている。
辺りに見回したが、砂浜に人はいない。
その流木に話しかけてみた。

<私の想像を加えた歌の意味>
辺りには誰もいない。
いつもの寂しい砂浜だ。
砂山の外れに流木がある。
海と砂と流木と、それを見ている私だけだ。
その流木にものを言ってみた。
流木は、ただ黙して私の言葉を聞いている。

<歌の感想>
 作者自身の行動がそのままに描かれている。「よこたはる流木」は実際の景色であり、「あたりを見まはし物言ひてみる」は実際の行動と受け取れる。実際に見たことと実際の行動をそのままに表現して一首を詠むのは、短歌の歴史から見ると革新的なものだと感じる。