巻五 796

はしきよし かくのみからに 慕ひ来し 妹が心の すべもすべなき
はしきよし かくのみからに したいこし いもがこころの すべもすべなき

<口語訳>
こんなことになってしまうとは。
私を慕って来た妻の気持ちを思うと、何を思い何をしても気持ちが安らぐことがない。

<意訳>
私を慕ってこの地までやってきたことが、永遠の別れにつながった。
妻は、私とともにいたいという思いだけだったのに。
それが、別れにつながるとは、あまりにも思いと現実が相反する。
この現実をどう受け止めればよいのか、私にわかろうはずもない。