みだれ髪 臙脂紫 与謝野晶子


夜の帳にさざめき尽きし星々の今を下界の人の鬢のほつれよ

<口語訳>
夜のとばりにつつまれてささやき尽くした星々の今この時を、下界では人の髪のほつれが。

<意訳>
天空では星々が夜のとばりにつつまれて思う存分ささやき合っている。
下界では、その同じ時を、人もささやき合って過ごしている。
人に知られぬようにしているのだが、髪がほつれるほど親密にささやき合っている。

 訳が困難だ。人によって全く別の受け取りになるだろう。だいたいが、「臙脂紫」(えんじむらさき)という小題が読めなかった。「下界の人」は、晶子自身と受け取った。