巻五 842

わが宿の 梅の下枝に 遊びつつ 鶯鳴くも 散らまく惜しみ

<口語訳>
私の家の庭の梅の下枝で鶯が遊びながら鳴いている。
鶯も梅の花が散るのを惜しんで鳴いている。

<意訳>
我が家の庭に、梅の花が散っていく。
梅の木の低い枝に、鶯が降りてきた。
鶯は枝の上で遊び、鳴いている。
鳴く声が梅の散るのを惜しんでいる。


 この短歌では、鶯の動きまで描かれている。散りゆく梅の花、よく見える低い枝で遊ぶように動きながら鳴く鶯、しかもそこは我が家の庭なのだ。
 これは、実景を見て感動したというよりは、想像上の取り合わせであろう。描かれているものは、絵ではなく、動画だと言えそうだ。