黒髪に 白髪交じり 老ゆるまで かゝ恋には いまだあはなくに
くろかみに しらかみまじり おゆるまで かかるこいには いまだあわなくに



艶めいていた私の黒髪も白髪が交じるようになりました。
年を取ったことをつくづく感じます。
そんな年齢になってこんなにもあなたに恋するなんて。
若いころにはなかったほどの恋心です。

 老いた女性からの強い恋情の表現ととれる。でも、素直な心情とは言えない。相手からの歌に返した作だから、どこかに冷静さと相手の歌に応じるしたたかささえ感じる。
 だからと言って、表現技巧だけのものとも受け取れない。白髪は、実際に感じていることだろうし、相手のことを憎からず想っていると思う。
 「いまだあはなくに」には、人生経験を積んだ女性の恋心が込められている。

 男性からの歌(559)が、どことなく理屈ぽく女性よりも優位に立とうしている感じがするのに比べると、格段に気持ちが伝わってくる作だ。