宗次郎(そうじろう)に
おかねが泣きて口説(くど)き居り
大根の花白きゆふぐれ


<歌の意味>
宗次郎に妻のおかねが長々と話し込んでいるのが、見える。
おかねは泣きながら話している。
話の中身は、義理の母(しゅうとめ)への苦情が中心だろう。
この二人から目を移すと、夕暮れの畑には大根の白い花が咲いている。

<歌から思うこと>
おかねの口説きは毎回同じような中身だ。
宗次郎もしかたなく聞いている。

大根の花は地味だがあらためて見ると、すがすがしい。
大根の花はもう収穫されなくなったものだ。

咲かなくて、役に立つのが大根の花。
おかねの口説きも実際の役には立たないだろう。
村の夕暮れのひとこまが浮かぶ。