意地悪の大工の子なども悲しかり
戦(いくさ)に出でしが
生きてかへらず


<思い浮かぶ作者の気持ち>
村の大工の息子は、意地悪で私もずいぶんといじめられた。
その子は、大人になって徴兵されて、戦争に行った。
そして、戦死してしまった。
周囲では戦死は名誉なことだというが、元気で村を出て、あっけなく死んでしまうとは、なんとも言えない気持ちだ。

<感じること>
戦死を「悲しかり」と表現するのは、憚れることだったと思う。
また、このように徴集されて、戦死した若者が、この田舎の人の少ない村で一人や二人ではなかったことへの思いも感じられる。