西行 山家集 上巻 春 48
玉章の はしがきかとも 見ゆるかな 飛び遅れつつ 帰る雁がね
たまづさの はしがきかとも みゆるかな とびおくれつつ かえるかりがね
<私が考えた歌の意味>
玉章の はしがきかとも 見ゆるかな 飛び遅れつつ 帰る雁がね
たまづさの はしがきかとも みゆるかな とびおくれつつ かえるかりがね
<私が考えた歌の意味>
手紙の余白の添え書きにも見える。
整然と列をなす雁の群れに、遅れながら飛んでいく雁の姿が。
<私の想像を加えた歌の意味>
<私の想像を加えた歌の意味>
きれいに隊列を組んで雁が北へ帰っていく。
おや、後ろから行くあの一羽は列から遅れたのか。
一羽だけでなく、また一羽が遅れながらも群れの後を飛んでいる。
だんだんに離れていく隊列と、それに遅れて飛ぶ数羽の雁の姿。
その遅れた雁は、まるで、手紙の余白に書かれた添え書きのようだ。
春の空に、手紙の本文とその添え書きが遠ざかっていく。
<歌の感想>
<歌の感想>
譬えのおもしろさと言ってしまえば、それまでであるが、単なる譬えを超えた作者の見方が伝わってくる。
手紙の添え書きには、本文とは異なる書き手の感情が書かれている場合がある。まるでそれを思わせるように、整然とした隊列の雁だけでなく、そこに乱れや余情を生み出す数羽の遅れた雁が飛ぶ。
風景の微かな破綻を楽しむ作者を感じる。
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