西行 山家集 上巻 春  47

雁がねは 帰る道にや 迷ふらん こしの中山 霞隔てて
かりがねは かえるみちにや まようらん こしのなかやま かすみへだてて

<私が考えた歌の意味>
雁の群れは、北へと戻る。
一度渡ってきた空の道だが、雁は迷っているだろう。
こしの中山が霞の中で、すっかり見えなくなっているから。

<私の想像を加えた歌の意味>
春霞に、こしの中山がすっぽりと覆われている。
これでは、北国に帰る雁の群れも帰り道に迷うではないか。
空行く雁のことが心配になるほどの春霞の景色だ。