西行 山家集 上巻 春 46

霞の中の帰雁
なにとなく おぼつかなきは 天の原 霞に消えて 帰る雁がね
なにとなく おぼつかなきは あまのはら かすみにきえて かえるかりがね

<私が考えた歌の意味>
なんということもないのだが、もの足りないような心残りなような気持になる。
遠くの空の霞に消えていく雁を眺めていると。
雁はもう帰ってしまうのだ。

<歌の感想>
 「おぼつかなき」としているのは、雁がいなくなることでも、雁の気持でもないのであろう。「霞に消えて帰る雁がね」の様子から感じられる春の風情そのものが、「おぼつかなし」の対象だと感じる。