与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より

紫の虹の滴(したたり)花におちて成りしかひなの夢うたがふな

<私が考えた歌の意味>
虹から紫色の滴がおちる。
その滴が地上の花におちて、できあがったもの。
その世にも稀な美しいものを抱き止めていることは疑いのないこと。

<私の想像を加えた歌の意味>
私の心にあるものは、この世でいちばん美しいもの。
それは、虹の紫色からしたたりおちた滴が、地上で花咲いたもの。
その虹の紫の滴の花を、我がかいなに抱いている。
我が手中にあるのは、まちがいなくこの世でいちばん美しいもの。
それが、恋する心。

<感想>
 チョコレート語訳みだれ髪 俵万智では、次のようにある。「紫の虹のしずくを抱きとめて咲かせる花を恋とよぶなり」。この訳がなければ、意味がとれなかった。
 色彩感覚が独特なだけでなく、句の中での語と語のつながりにも晶子でなければというものを感じる。
 虹の色の中の紫色、その紫色からの滴、その滴が花におちて生成されるもの、このような順を追った意味付けなどは無用なのであろう。