与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より

絵日傘をかなたの岸の草になげわたる小川よ春の水ぬるき

<私が考えた歌の意味>
まず、絵日傘を向こう岸の草の上に投げる。
そして、小川を足が濡れるのもかまわず渡った。
小川の水は、春の陽気で心地よくぬるい。

<私の想像を加えた歌の意味>
もっと歩くと、橋があるけど、うんと遠回りになる。
この場所で、この小川を渡ってしまえ。
小川といっても、飛び越せる流れではない。
足を濡らして、川を数歩だが渡らなければならない。
まずは、差している絵日傘を向こう岸へ勢いよく投げる。
絵日傘は、一瞬空を舞い、向こう岸の草の上にふわりと落ちる。
着物の裾をからめ、流れに足をつけ、渡り切る。
思ったよりも水がぬるい。
春の小川の水のぬるさだ。