石川啄木『一握の砂』「煙」 より

ふるさとの
かの路傍(みちばた)のすて石よ
今年も草に埋もれしらむ

<私の想像を加えた歌の意味>
ふるさとのある路の路端にわりと大きな石があった。
その石は、転がっているたくさんの石よりも大きいのに何かのためにあるというのではなく、ただそこにあった。
草が生い茂らない時期は、石の姿は見えている。
夏草が生い茂ってくると、その大きな石もすっかり草に埋もれてしまう。
ふるさとを離れていると、あんな石のことまで懐かしくなる。
今年も暑い季節になった。
ふるさとのあの路傍の石は、また草に埋もれているだろう。