「煙」一 に共通するもの ※「煙」の章は、一と二に分かれている。ここまでが、一で以降が二。

 学生時代の将来への希望がことごとく破られていく様子が感じられる。若い頃の精神を持ち続けることができないのは、作者自身の精神の在り方のせいでもあろう。そして、若者の熱情をたちまちのうちに冷ましてしまう都会の現実のせいでもあろう。
 「煙 一」の作品のすべてが、学校を卒業し、故郷を出ると驚くほどの短期間で若者が、現実の前で無力になっていく様が描かれていると思う。 次の作青空には、その代表だと思う。

青空に消えゆく煙
さびしくも消えゆく煙
われにし似るか

 啄木の時代は、学生は現実の非情さから隔離されている面があった。故郷にいた間、学校にいた間は気づかなかったが、そこから一歩外へ出てみると、学生時代の苦労のなさと故郷の懐かしさが身に沁みるのだと思う。
 次の作盛岡のからは、作者が、学生時代を心から懐かしんいることが伝わってくる。

盛岡の中学校の
バルコンの
手摺に最一度われを倚らしめ