石川啄木『一握の砂』「煙」 より

近眼(ちかめ)にて
おどけし歌をよみ出でし
茂雄の恋もかなしかりしか

<私の想像を加えた歌の意味>
茂雄は近眼で分厚い眼鏡をかけていた。
どこかおどけた短歌をよく作っていた。
その茂雄の真剣な恋は実らなかった。
失恋を茂雄はひょうきんに話していた。
今、思い出すと、その時の茂雄の心中がわかる。
あのころの茂雄の失恋の悲しみが、今、わかる。