朝日新聞夕刊2018/7/11 あるきだす言葉たち 7・11アゲイン 熊谷 純(くまがい じゅん)

たぶん来る明日の方へゆつくりとペダルの上の雨を踏み込む

 将来への展望の感じられない現状を描いているのに、この一連の短歌は前に進もうとする気持ちを感じる。それを、この作からはっきりと感じる。
 明日が来ることさえ、確信がもてない。だけど、「たぶん来る」とどこかで楽観している。そして、雨と自転車と自分の行為を、情感として表現している。この抒情が作者の強みなのだと思う。