万葉集 巻三 239 長皇子(ながのみこ)が猟路の池に狩猟に行かれた時、柿本朝臣人麻呂が作った歌一首と短歌

やすみしし わが大君 高光る わが日の皇子の 
やすみしし わがおおきみ たかひかる わがひのみこの

馬並めて み狩立たせる 若薦を 猟路の小野に
うまなめて みかりたたせる わかこもを かりじのおのに

鹿こそば い這ひ拝め 鶉こそ い這ひもとほれ
ししこそば いはいおろがめ うずらこそ いはいもとおれ

鹿じもの い這ひ拝み 鶉なす い這ひもとほり
ししじもの いはいおろがみ うずらなす いはいもとおり

恐みと 仕へまつりて ひさかたの 天見るごとく
かしこみと つかえまつりて ひさかたの あめみるごとく

まそ鏡 仰ぎて見れど 春草の いやめづらしき
まそかがみ あおぎみれど はるくさの いやめずらしき

わが大君かも
わがおおきみかも 

<私の想像を加えた歌の意味>
長皇子が、馬を並べて、狩猟にお出になられる。
獲物の鹿、猪、鶉は、長皇子の前にひれ伏してしまうだろう。
獲物だけでなく、我ら家臣も、皇子のお姿の前にひれ伏してしまう。
若々しく慕わしい皇子様だ。