石川啄木『一握の砂』「煙」 より

眼を病みて黒き眼鏡をかけし時
その頃よ
一人泣くをおぼえし

<私が考えた歌の意味>
眼病を患って、日を遮る黒いレンズの眼鏡をかけた。
ちょうどその頃からだ。
孤独感に涙する経験をするようになったのは。

<私の想像を加えた歌の意味>
目を病んで、黒いレンズの眼鏡をかけなければならなかった。
黒いレンズの眼鏡をかけると、世の中のものが全て、くすんだ色に見えた。
ちょうどその頃からだ。
私が独りで泣くようになったのは。
悲しい出来事があったからではない。
理由のないかなしみが押し寄せて来て、泣くより他になくなるのだ。
その頃から、独りでかなしみに浸ることが私の習いとなった。