石川啄木『一握の砂』「煙」 より

田舎(ゐなか)めく旅の姿を
三日ばかり都に晒(さら)し
かへる友かな 

<私の想像を加えた歌の意味>
いかにも田舎から出て来たという様子で、友は、三日ばかり都で過ごしていった。
出て来た友は、都を珍しがって私の案内を喜んでいた。
私の方は、友のいかにも田舎者という振る舞いが恥ずかしかった。
友が帰ってしまってから、田舎者であることを恥じない友の心を羨ましくさえ思った。