石川啄木『一握の砂』「煙」 より

解剖せし
蚯蚓(みみず)のいのちかなしかり
かの校庭の木柵の下

<私が考えた歌の意味>
授業でミミズを解剖した。
解剖されたミミズは、校庭の木の柵の下に埋められた。
学習のためだとは分かっているが、ミミズにだっていのちはあるのだ。

<歌の感想>
 ここにも、学生の頃の作者の感覚がよく出ている。ミミズの解剖には、平然を装うか、嫌悪感を持つかだと思うが、それを、「いのちかなしかり」と表現している。これは、ミミズのいのちが絶えたことを悲しむでも、ミミズは解剖され悲しかったろうでもない。作者独特の「かなしかり」という語感だと思う。