石川啄木『一握の砂』「煙」 より

石ひとつ
坂をくだるがごとくにも
我けふの日に到り着きたる

<私が考えた歌の意味>
ひとつの石が坂をくだるように、私は、今日の日にたどり着いた。

<歌の感想>
 あっという間に時間が過ぎることだけを表現しているのではあるまい。何もかもが新鮮で、輝いていた頃がたちまちに過去になったことを、さびしく思う作者の心情を感じる。
 生活に煩わされない学生時代は、啄木にとって特別に懐かしいものであったことが、伝わって来る。