石川啄木『一握の砂』「煙」 より

西風に
内丸大路(うちまるおほぢ)のさくらの葉
かさこそ散るを踏みて遊びき

<私が考えた歌の意味>
西風に内丸大路のさくらの葉が散る。
道路一面に散り敷いたさくらの葉は、歩むに連れて音を立てる。
さくらの葉はかさこそと散り、かさこぞと鳴る。
落ち葉を踏み、その音を楽しみながら歩いたものだ。

<歌の感想>
 思い出の中の情景が描かれている。懐かしい記憶の一部であるのだろうが、まるで、その時とその場に立ち戻っているような感じを受ける。「西風」「かさこそ」の具体的な表現が効果を上げ、「遊びき」と端的に言っているからであろう。