石川啄木『一握の砂』「煙」 より

ストライキ思ひ出でても
今は早や吾が血踊らず
ひそかにさびし

<私が考えた歌の意味>
ストライキのことを思い出しても、今はもうあの時のように興奮はしない。
働く者たちの要求を闘い取ろうと、情熱を傾けた気持ちが消えてしまった。
血が踊るあの思いがなくなったのは、さびしい。

<歌の感想>
 この「ストライキ」は、啄木在学中の盛岡中学校での生徒によるストライキを指すものであろうが、その辺の事情については深入りしない。広い意味での「ストライキ」と受け取っても十分に味わえる作だと思う。
 労働運動の熱情と、それが敗北し冷めていく心情は、時代を違えて幾度となく短歌に詠まれた。
 この短歌を、昭和期の作と見ても、不自然さがないと思う。その意味でも、時代を先取りした意識だと感じる。