万葉集 巻二 209 柿本朝臣人麻呂が、妻が死んだ後に、泣き悲しんで作った歌二首と短歌(207~212)※以前の記事① 以前の記事②を改めた。

もみち葉の 散り行くなへに 玉梓の 使ひを見れば 逢ひし日思ほゆ
もみちばの ちりゆくなえに たまづさの つかいをみれば あいしひおもおゆ

<私が考えた歌の意味>
紅葉した葉が散っていくころ、妻の死を知らせる使いの人が来た。
知らせを聞いても、紅葉のころに妻と一緒にいたことばかりが思い出される。

<私の想像を加えた歌の意味>
色づいた葉が散るころに、妻の死を知った。
妻の死を告げる使いの言葉を聞いているのに、思い出されるのは健やかな妻のことばかりだ。
ちょうど今頃、紅葉の散る中で、妻と共にいたことばかりが思い浮かんで来る。

<歌の感想>
 使いの人は、妻の死を伝えている。それを聞いている人麻呂の脳裏に浮かぶのは、妻の元気な姿ばかりだ。自分と共に、紅葉を楽しんでいる妻の姿を追い求めている人麻呂の心情が感じられる。