石川啄木『一握の砂』「煙」 より

学校の図書庫(としょぐら)の裏の秋の草
黄なる花さきき
今も名知らず

<私が考えた歌の意味>
学校の図書館の裏の草は秋になると黄色の花をつけていた。
図書館の行き帰りに目にしたあの花を今でも思い出す。
あの花の名はなんというのだろうか、いまだにわからない。

<歌の感想>
 日陰に咲く野草の花が思い浮かぶ。「図書庫」は、現代の学校図書館のように明るく開放的ではないだろう。「黄なる花」も手入れされた花壇に咲く花のように派手ではないだろう。でも、その花の黄は、少年のころの啄木の目に焼き付いて、何度も思い出す光景になっている。