万葉集 巻二 199 高市皇子尊(たけちのみこのみこと)の城上(きのえ)の殯宮(ひんきゅう)の時に、柿本朝臣人麻呂が作った歌一首と短歌
※長歌全体を四段に区切って考えた。区切り方は、新日本古典文学大系 萬葉集 岩波書店によった。
※第三段
木綿花の 栄ゆる時に 我が大君 皇子御門を
ゆうはなの さかゆるときに わがおおきみ みこのみかどを

神宮に 装ひまつりて 使はしし 御門の人も
かんみやに よそいまつりて つかわしし みかどのひとも

白たへの 麻衣着て 埴安の 御門の原に
しろたえの あさごろもきて はにやすの みかどのはらに

あかねさす 日のことごと 鹿じもの い這ひ伏しつつ
あかねさす ひのことごと ししじもの いはいふしつつ

ぬばたまの 夕に至れば 大殿を 振り放け見つつ
ぬばたまの ゆうへにいたれば おおとのを ふりさけみつつ

鶉なす い這ひもとほり 侍へど 侍ひ得ねば
うずらなす いはいもとおり さもらえど さもらいえねば

春鳥の さまよひぬれば 嘆きも いまだ過ぎぬに
はるとりの さまよいぬれば なげきも いまだすぎぬに

思ひも いまだ尽きねば 言さへく 百済の原ゆ
おもいも いまだつきねば ことさえく くだらのはらゆ

神葬り 葬りいませて あさもよし 城上の宮を
かんはぶり はぶりいませて あさもよし きのえのみやを

常宮と 高くしたてて 神ながら 鎮まりましぬ
とこみやと たかくしたてて かんながら しずまりましぬ

<私の想像を加えた歌の意味>※第三段
めでたく栄えていた、その高市皇子が亡くなられた。
従者たちは昼夜を問わず、嘆き悲しむ。
悲しみも憂いもまだ消えないが、亡き皇子は城上の宮に葬られた。