与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より

春よ老いな藤によりたる夜の舞殿ゐならぶ子らよ束の間老いな

<私が考えた歌の意味>
春の夜、舞台では乙女たちが舞う。
舞台のそばには藤の花も咲く。
この春が過ぎないでほしい。
舞台の乙女たちも、たとえ一瞬でも老いることなどしないでほしい。

<歌の感想>
 散文にすることはむずかしいが、「老いることなどしないでほしい」という期待や願望ではなく、もっと強い命令であろう。この夢のような春の夜が老いること、この春の夜の舞台にぴったりの少女たちが老いること、私はそれを許しませんよ、と言い切っているように感じる。
 これは、全てのものは老いていくという自覚を、作者が持っている表れだと思う。