万葉集 巻二 189 日並皇子尊(草壁皇子)の宮の舎人たちが泣き悲しんで作った歌二十三首(171~193の内から)
朝日照る 島の御門に おほほしく 人音もせねば まうら悲しも
あさひてる しまのみかどに おほほしく ひとおとせねば まうらかなしも

<私が考えた歌の意味>
宮殿の御門に朝日が照っている。
ほんの少し前までは、朝日が照らす宮殿は立派で賑やかだった。
朝日は前のままだが、今は、宮殿も御門もなんだかぼんやりとした情景にしか見えない。
そして、宮殿に出入りする人々はいない。
皇子様が亡くなられたことが、本当に悲しい。

<歌の感想>
 「おほほしく」の意味を、「鬱々として」や「めいるばかりに」との訳もあるが、どうもしっくり来ない。口訳萬葉集 折口信夫の「朝日が靜かにさして居る島の御所に、人のけはひもせないので、何だかぼうとして、悲しくなつて来ることだ。」がよいと思った。
 どんな場合に、皇子の死を悲しむ心情が湧き上がるかを、わかりやすく表現している作品だと感じる。