万葉集 巻二 188 日並皇子尊(草壁皇子)の宮の舎人たちが泣き悲しんで作った歌二十三首(171~193の内から)
朝ぐもり 日の入り行けば み立たしの 島に下り居て 嘆きつるかも
あさぐもり ひにいりゆけば みたたしの しまにおりいて なげきつるかも

<私が考えた歌の意味>
朝からの曇り空で、日が陰っている。
こういう日には、皇子様がお立ちになっていた庭に下りて、今はもういらしゃらないことを嘆いてしまう。

<歌の感想>
 空模様と嘆きの気持ちがつながって表現されている。それだけではなく、皇子が亡くなったことは、世の中が厚い雲に覆われてしまったようだ、との気持ちも感じられる。
 「み立たしの島」の語が詠まれているのは、この二十三首の内で、178、180、181、188の四首がある。それだけ、日並皇子と庭園とが結びついて思い起こされたのあろうし、同時にこの語によって、共通のイメージを持つことができたのであろう。
 この四首中では、181「み立たしの 島の荒磯を 今見れば 生ひざりし草 生ひにけるかも」181が淡々とした詠みぶりがかえって悲しみの深さを感じさせる。