与謝野晶子 『みだれ髪』 臙脂紫 より

牧場いでて南にはしる水ながしさても緑の野にふさふ君

<私の想像を加えた歌の意味>
牧場から南へと豊かに川が流れる。
川の流れに沿って、緑の野が広がる。
その野に立つ男。
なんて、その男は、この広々とした光景に似合うことか。

<歌の感想>
 これもまた大胆な構成だ。
 緑いっぱいの牧場と牧場に続くようにどこまでも続く野原が浮かぶ。そして、牧場と見渡す限りの平地をつないでいるのが、川の流れだ。そこに、牧場で働く逞しい男が現れる。男はいかにもその広大な風景に似つかわしい。風景と男が似つかわしいだけでなく、作者は、その男に魅せられていると感じる。