万葉集 巻二 183 日並皇子尊(草壁皇子)の宮の舎人たちが泣き悲しんで作った歌二十三首(171~193の内から)
わが御門 千代とことばに 栄えむと 思ひてありし 我し悲しも
わがみかど ちよとことばに さかえんと おもいてありし われしかなしも

<私が考えた歌の意味>
私がお仕えしていた皇子の御殿は、永久に栄え続けるだろうと思っていました。
そのように、信じていたことは、今となっては悲しいことです。

<歌の感想>
 この作を現代語訳すると、「信じていた私は悲しい」となる。そうなると、皇子の死を悲しむというよりは、皇子に仕えていた私のこれからを思うと悲しいという受け取り方もできる。
 この二十三首には、主を失った宮廷人の悲しみがどこかしら感じられる。したがって、訳としても次のようになるのがふさわしいと思う。口訳萬葉集 折口信夫 から引用する。
「何も知らないで、何時迄も變りなく、此御所は榮えて行くことゝ思うてゐたことが悲しくてならぬ。」