石川啄木『一握の砂』「煙」 より

青空に消えゆく煙
さびしくも消えゆく煙
われにし似るか

<私の想像を加えた歌の意味>
もくもくと白い煙が青空に上がっていく。
建物から勢いよく吐き出された煙だが、青空に消えて見えなくなる。
空に吸い込まれるように消えていく。
明るい青空にさびしさだけが残る。
青空にさびしく消えてしまった煙は、まるで私のようだ。

<歌の感想>
 青空にぽっかりと浮かぶ白い雲ではない。煙突からの煙であろうか、とにかく何かが燃えて出る煙だ。
 吐き出されたばかりの煙ではない。最初は勢いがよいが、空にだんだん消えてゆく煙の様子なのだ。
 煙が昇り立つ様子に目を奪われることはある。その煙が消えてゆくまで見続けることはないように思う。まして、消えてゆく煙と自己が似ていると感じる感性は、凡人にはない。啄木独特のものだ。
 青空と煙に、さびしさを描いているこの作が好きだ。