万葉集 巻二 181 日並皇子尊(草壁皇子)の宮の舎人たちが泣き悲しんで作った歌二十三首(171~193の内から)

み立たしの 島の荒磯を 今見れば 生ひざりし草 生ひにけるかも
みたたしの しまのありそを いまみれば おいざりしくさ おいにけるかも

<私の想像を加えた歌の意味>
皇子が亡くなられ、時が過ぎた。
皇子がよくお立ちになっていた庭園の池の荒磯を、今眺めている。
皇子がお元気な頃はあれほど美しく手入れされていた池の荒磯に草が生えている。
皇子が亡くなると、庭の池の周りにも草が生え、荒れていくのだ。

<歌の感想>
 題材は類型があるが、作者の実際の感覚が感じられる。草など生えていなかった所なのに、たちまち草が蔓延るのは、今も昔も人の手が入らなくなった証である。