万葉集 巻二 162 天皇が崩御して八年後の九月九日、御斎会の夜に、夢の中で繰り返しお唱えになった歌一首

明日香の 清御原の宮に 天の下 知らしめしし 
あすかの きよみのみやに あめのした しらしめしし

やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 
やすみしし わがおおきみ たかてらす ひのみこ

いかさまに 思ほしめせか 神風の 伊勢の国は
いかさまに おもおしめせか かんかぜの いせのくには

沖つ藻も なみたる波に 塩気のみ かをれる国に
おきつもも なみたるなみに しおけのみ かおれるくにに

うまこり あやにともしき 高照らす 日の皇子
うまこり あやにともしき たかてらす ひのみこ 

<私の想像を加えた歌の意味>
我が大君は、明日香の清御原の宮で、国を治められた。
大君は、伊勢の国にお出かけになられた。
なぜ、伊勢の国へと向かわれたのか、定かではない。
藻が寄せて来る浜辺、潮の香の立つ海に恵まれた伊勢の国に、大君はまだいらっしゃるのか。
明日香にお戻りになられない大君のことが、ただただ慕わしい。