石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

盗むてふことさへ悪(あ)しと思ひえぬ
心はかなし
かくれ家もなし

<私の想像を加えた歌の意味>
人の物を盗むことはどんな場合も悪いことだと信じてきた。
それなのに、盗みをはたらくことさえも悪いことだと自信をもって思えなくなった。
そんな荒んだ心がかなしい。
そんな私が隠れることのできる隠れ家もない。