140 柿本朝臣人麻呂の妻、依羅娘子(よさみのおとめ)が人麻呂と別れた時の歌一首
 
な思ひと 君は言へども 逢はむ時 いつと知りてか 我が恋ざらむ
なおもいと きみはいえども あわんとき いつとしりてか あがこいざらん

<私が考えた歌の意味>
思うなとあなたは言います。
次にあなたと逢えるのはいつと分からないので、ますます恋しいのです。

<私の想像を加えた歌の意味>
いつまでも私のことを恋しく思うな、とあなたは言います。
あなたと別れて、次に逢える日がいつなのか分かりません。
もう逢えないかもしれないと思うからこそ、恋しいのです。

<歌の感想>
 解説によると、この作者は、石見の国の妻のことではないとある。だが、状況としては似通っているのではないかと感じる。ただし、131~139の長歌短歌に表現されているような別れてきた相手を思う感情は感じられない。