石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

うすみどり
飲めば身体(からだ)が水のごとき透きとほるてふ
薬はなきか 

<私の想像を加えた歌の意味>
死ぬことも、消えてしまうことも、容易ではない。
だが、今のまま生き続けること、存在し続けることはしたくない。
生きなければならないのだろうが、生きる意義を見つけられない。
体が透けてしまえばよい。
存在するが、うすみどり色のあるかないかわからにようなものになればよい。
体がうすみどり色に透けてしまうような薬はないものか。

<歌の感想>
 ここまで出て来た歌の中では異色だ。見ているもの、聞いているものがない。作者の行為もない。作者の心象を表す語もない。それでいながら、空想だけという感じもしない。