万葉集のかたわらにキーボード

記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。 私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。

2022年01月

年ごとに肺病やみの殖えてゆく
村に迎へし
若き医者かな


<歌の意味>
村では肺病に罹る人が年々ふえる。
そんな村に若い医師が着任する。
喜ぶべきところだが、今まで村に来た若い医師の大半は、長続きしないで、やめてしまった。
それも無理のないことだ。
村の現状を考えてしまう。

酒のめば
刀をぬきて妻を逐ふ教師もありき
村を逐はれき


<歌の意味>
普段は真面目な人なのに、深酒をすると刀を抜いて妻を追いかけたりする教師がいた。
酒の上での失敗を、はじめのうちは本人も反省し、村人も許したが、度重なって、その村には、いられなくなった。

我ゆきて手をとれば
泣きてしづまりき
酔いて荒れしそのかみの友


<歌の意味>
私が行って手をとって、話を聴くと、酔って暴れていた友が静かになった。
私が行く前は誰がどう言い聞かせても、叱りつけても、聞き分けなかった。
普段から私と二人になると、読書の話やらで、静かに過ごす彼だった。
彼には普段は見せない顔がある。

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