万葉集のかたわらにキーボード

記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。 私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。

2018年05月

巻三 238 長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)が天皇の仰せに答え奉った歌一首

大宮の 内まで聞こゆ 網引すと 網子ととのふる 海人の呼び声
おおみやの うちまできこゆ あびきすと あごととのうる あまのよびごえ

<私の想像を加えた歌の意味>
宮殿の奥まった部屋は、天皇陛下が穏やかにお過ごしになり、いつも静かです。
いつもは静かな宮殿の奥まで聞こえてきます。
網を引く人々を指揮する漁夫の声が。
海の豊かな幸にも恵まれ、陛下の治めるこの国はますます栄えます。

巻三 237 志斐の嫗が答え奉った歌

否と言へど 語れ語れと 詔らせこそ 志斐いは奏せ 強ひ語りと言ふ
いなといえど かたれかたれと のらせこそ しいいはまおせ しいかたりという

<私が考えた歌の意味>
私は、いやですと言うのに、語ってと何度も仰せになるので、志甲のおばばはお話してあげたのですよ。
それを、いまさら、無理に話して聞かせたなんて、おっしゃるのですね。

<私の想像を加えた歌の意味>
陛下もずいぶんとおとなになられたことですね。
話して、話して、このおばばにねだっていたのに、それを、おばばが無理に語ったと言うようになったのですね。
しかも、それを上手に、歌に詠み込むなんて。

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