石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

死にたくてならぬ時あり
はばかりに人目を避けて
怖(こは)き顔する

<私の想像を加えた歌の意味>
絶望することがあったわけではなかった。
いつもと変わらず周りは嫌な人ばかりだ。
相変わらず暮らしは貧しい。
死にたくてならない時がある。
だが、死ねもしない。
そんな時は、便所に入って、誰もいないのを確かめる。
そして、便所の壁をにらみつけ、怖い顔をする。
便所から出たときは、またいつもの顔だ。