石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

水晶の玉をよろこびもてあそぶ
わがこの心
何(なに)の心ぞ

<私が考えた歌の意味>
水晶の玉を手に入れた。
この玉の美しさにうれしくなり、折にふれもてあそぶ。
このような物に心を奪われるなんて、わが心はどうなったのか。

<私の想像を加えた歌の意味>
水晶の玉を、これは値打ちのある物ですよ、と言ってある人が置いていった。
今までは、珍しい物や貴重な石なぞには関心がなかった。
この水晶の玉はなぜか気に入り、気が付くともてあそぶようになった。
他人が珍しいものだとありがたがる物を、私もよろこぶなんて、いったいどうしたことだろう。

<歌の感想>
 読者としても、啄木はどうしてしまったのだろう、と思う。当時に水晶がどの程度の価値があり、また流行していたのかは分からないが、良いものであれば貴重品であったろう。宝飾品の美しさを感じていることに、啄木自身が驚いていることを感じる。