石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

誰が(たれ)見てもとりどころなき男来て
威張りて帰りぬ
かなしくもあるか

<私の想像を加えた歌の意味>
誰が見ても、あの男に良いところを見つけるのは難しい。
その男が親し気に、私の所へやって来た。
そして、聞きたくもないことを喋り散らしていった。
結局は、自分のしていることを威張っているだけの話だった。
あの空威張りを前にすると、あの男が憐れになり、悲しい気分にさえなってしまう。