万葉集 巻一 74

み吉野の 山のあらしの 寒けくに はたや今夜も 我がひとり寝む
みよしのの やまのあらしの さむけくに はたやこよいも あがひとりねん

<私の想像を加えた歌の意味>
吉野の山の嵐は寒い。
故郷の家が恋しい。
妻が恋しい。
妻と一緒に寝る夜が恋しい。

 旅先の夫を、家の妻を、それぞれ思う歌が何首もある。その中で、最もすんなりと味わえた。離れた相手のことを詠まずに、自分のことだけを表現している点に特徴があると思う。