万葉集 巻一 7 額田王 未だ詳らかならず

秋の野の み草刈り葺き 宿れりし 宇治のみやこの 仮廬し思ほゆ
あきののの みくさかりふき やどれりし うじのみやこの かりいおしおもおゆ

<私の想像を加えた歌の意味>
季節は秋、宇治のかりみやで旅の一夜を過ごしました。
かりみやと言っても何もない所なので、秋の草を刈って、屋根を葺きました。
草刈りから屋根葺きまで大急ぎで作ったあの宇治のかりみやに泊まったことは、なぜか忘れがたいことです。

 季節は秋、泊まった地は宇治と、歌の背景がはっきりと浮かんでくる。当時の行幸の際のかりみやがどの程度のものであったかは分からない。しかし、建物の屋根も葺かれていない状態から、多くの人々が働いて、たちまち建物の形になる様子が想像できる。
 過去のことが、今ここで繰り広げられているように描かれている。それでいながら、思い出の中のことというベールもかかっている。
 全体の調子の滑らかさと、結句の収め方に並々ならぬ力量を感じる。