万葉集 巻一 77

わが大君 ものな思ほし 皇神の 副へて賜へる 吾がなけなくに
わがおおきみ ものなおもおし すめかみの そえてたまえる わがなけなくに

<私が考えた歌の意味>
大君よ、そんなにご心配なさらないでください。
代々のご先祖様が、あなた様をお助けするようにと私をお遣わしになったのですから。

<私の想像を加えた歌の意味>
即位した妹よ、天皇として国を治めることをそんなにも不安に思わないでください。
姉の私がいるではありませんか。
私は、あなたが天皇となったときには、あなたを助けるために生まれてきたのですから。

<歌の感想>
 「大君」は元明天皇で、作者は姉に当たる御名部皇女(みなべのひめみこ)とされている。背景については、詳しくは考えずに、短歌のだいたいの意味をとらえてみた。
 そうとらえても、76と77は政治的な役割を持たされているような気がする。それは、76では武人の意向に対する天皇の懸念を表明し、77では天皇の正統性と誰が補佐するかを多くの人々に示している、と感じる。